神経変性疾患
Neurodegenerative disease
脳や脊髄などの神経細胞が徐々に失われ、運動や認知などの機能が進行性に低下する病気の総称。パーキンソン病、ALS、脊髄小脳変性症などが含まれる。
詳細
概要
神経変性疾患は、脳や脊髄などの神経細胞が少しずつ減って、運動や言語、認知などの機能が進行性に低下していく病気の総称です。日本では、パーキンソン病、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、脊髄小脳変性症などが指定難病に含まれています。原因が十分に解明されていない病気が多く、根本的な治療の開発が課題です。
主な疾患の要点
難病情報センターの解説によると、各疾患の特徴は次のとおりです。
- パーキンソン病:ふるえ、動作緩慢、筋強剛、姿勢保持障害を主な運動症状とします。中脳の黒質にあるドパミン神経細胞が減ることで起こり、細胞内でアルファ-シヌクレインというタンパク質が凝集・蓄積すると考えられています。患者数は10万人に100〜180人程度、65歳以上では10万人に約1000人とされます。治療は薬物療法が基本で、不足するドパミンを補うL-ドパなどが使われ、薬で十分な効果が得られない場合は脳深部刺激療法などが検討されます。
- 筋萎縮性側索硬化症(ALS):筋肉を動かす運動ニューロンが主に障害され、手足・のど・舌や呼吸に必要な筋肉が徐々にやせて力を失う病気です。令和5年度の特定医療費(指定難病)受給者証所持者は9,727人です。進行を遅らせる薬が使われ、呼吸や栄養、コミュニケーションの支援を組み合わせます。
- 脊髄小脳変性症:歩行時のふらつき、手の震え、ろれつが回らないことなどを主な症状とする運動失調症の総称で、全国で3万人を超えます(多系統萎縮症を含む)。進行を止める薬は、現時点ではヒトでの有効性が確認されておらず、症状を和らげる治療が行われます。
診断・創薬の課題
これらの病気は、原因の解明と、早い段階での診断が課題です。血液中のバイオマーカーを使って病態を捉える研究や、細胞が死ぬ仕組みを標的にした創薬が、研究の方向として進められています。
スタートアップの取り組み
FerroptoCureは、慶應義塾大学の研究成果をもとに、鉄依存性の細胞死であるフェロトーシスを標的とした、がん・神経変性疾患向けの新薬を開発しています。リードパイプラインはFC-004で、2022年5月に設立されました。
BioPhenoMAは、早稲田大学の研究を基にした超高感度タンパク質検出技術「TN-cyclon」を使い、がんや神経変性疾患の血中バイオマーカーを定量する試薬を開発しています。2023年4月に設立されました。